税理士さんのお仕事
今年3月に父を亡くして、父が懇意にしていた税理士さんに税務上の処理をお願いしました。
「相続」というテーマについては私も仕事柄、机上の理屈としては一通り学んでおりましたので、
税理士さんいわく、 「相当スムーズに処理させてもらいました」 とおっしゃってくださいました。
今月初めに無事、申告と納税を終えることができました。
私は . . . . 、 少し不服でした。
私がFPという仕事をしていて、 「スムーズ」 に事が進んで、それはある意味当たり前。
私たちが 「懇意にしていただいていた税理士さん」 に期待していたのは、
決して、申告・納税の 「事務処理」 レベルの仕事ではないのです。
「相続」
そこには故人の、残った者たちへの 「思い」 と、
残った者たちの故人への様々な 「思い」 が凝縮されているはずです。
税金が高い安いとか、分割にあたっての技術論の問題などとはまったく異なる世界で、
故人と残った者たちの 「思い」 に耳を傾けて欲しかった・・・。
父は、残したものをどのように次世代に引き継いで欲しかったのか、
残った者たちはそれをどのように引き継ごうとしているのか、
それぞれの思いを税理士さんが聞いてくれるときを、私は今か今かと待ち構えていたのです。
多少 「相続」 のセオリーから外れることがあったとしても、思いを少しでも多くかなえるためにはどのようなかたちがベストなのかについて、一専門家としての税理士さんのアドバイスが欲しかったのです。
(だって、税金の計算や申告・納税の仕方くらいだったら、FPの教科書にも出ていますし、FPを仕事としている私が、 「専門家」 としての税理士さんにわざわざ仕事を依頼するのですから)
結局・・・・、故人の思いをヒアリングするという時も場面も、やってきませんでした。
税額の計算、申告、納税、税務署の心象、等々についての方法論と具体的な手続きに
ついての指示(もちろん、それはそれで大切なことではあるのですが)、
・・・・・・ それで、おしまいでした。
故人が懇意にしていた、また、実績のある専門家だからこそ、そのような機械的な対処ではなく、 「思い」 に耳を傾けて欲しかったのですが・・・・・・、ね。